静かなる違法行為

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私は短期大学修了後、新卒で就職しました。家庭が決して裕福ではなかったので、自分の力で生計をたてて生活していくこと、自立した日々を送ることに大きな希望を抱いていました。

社会人生活がはじまって一ヶ月ほどは、職場の環境に慣れることにはじまり、お茶汲み、コピーといった雑務を覚え、施設設備や全職員の把握でいっぱいいっぱいでした。次第にそれらも覚え、社会人生活に慣れて来ましたが、本来の自分の役目である仕事はなかなか教えてもらえませんでした。

 

確かに自分はまだまだ下っ端で、雑務をこなしていかなくてはいけない立場なのはわかっていましたが、実務も経験しなくては、今後の社会人生活に影響します。私の気持ちは焦っており、直属の先輩に、何かやることはありますか?と訊く癖がつきました。訊けば何か仕事は与えてくれますが、すぐに終わるような簡単な作業ばかりで、仕事というよりはそれも雑務でした。実務と直結はしません。

一年目とはこういうものかと思っていましたが、結果として一年を通してまともな仕事をさせてもらえず、二年目を迎えることになりました。二年目は、その直属の先輩が異動になり、別の支所からのベテランさんが異動してきました。当然、実務を率先して行わなければならないのは、表面上は一年先にいた私です。大事な最初の一年間で、一通りの仕事をさせてもらえなかった代償は大きく、二年目なのにできないの?という雰囲気が漂っていました。

 

二年目なのにほぼゼロからのスタートで送る毎日に嫌気がさし、一年目のことも含めて別の役職の先輩に相談したところ、それは仕事をもらえないというパワハラだよと教わりました。これはれっきとした違法行為です。何もわからないなりに、そういうものだと思い込まされて、私は何の仕事もさせてもらえていなかったのでした。

そのうえ、その先輩とはコミュニケーションもろくにとれていなかったことに気づかされました。何故なら、仕事をさせてもらえていないのに「いいよね、暇で」等と言われることがあり、いつも何もできなくて申し訳ない、という気持ちでいっぱいでいましたが、会話といえばそういった下に見られるような発言ばかりで、まともにした会話を思い出せなかったのです。

 

私が悪いのだと一年間思い込まされていましたが、結果的にはその先輩のパワーハラスメントであったことがわかりました。先輩は仕事はできるため、管理職から絶大な信頼を得ており、私が苦しんでいることや、私が仕事をできていなかったことには、気づいてもらえませんでした。また、お茶汲みや簡単な作業はしていたため、はた目には仕事をしているようにも見えていたことがいけなかったのでしょう。当然、私も自分の苦しみがパワハラによるものと気づけていなかったため、私から相談することもできず、ただ言いようのない苦しみにもがいていました。

 

今では周囲の方のサポートもあり、産業医のカウンセリングも定期的に受けているため、先輩から教われなかったことも学び、精神的にも安定して仕事を続けていますが、経験年数が上がってくるにつれ、あの頃教われていたら何の問題もなかったことを、段々と他人に訊きづらくなってきました。

自身も多忙ななかで、右も左もわからない新入社員の育成をするのは難しいことだということは今にしてわかりますが、無意識であろうとなかろうと、他人を不快にさせ、パワハラをし、違法な行動をとってもいい理由にはならないのです。

 

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