台風関西最大!かどうかはわからないけど、ある夜の話

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その日がそんなに大荒れの天気になるとは思いませんでした。私は某大企業へのプレゼンのために、大きな荷物を抱えて、大変緊張しながら関西空港に下り立ちました。こちらの人数は2人。もちろんお堅いスーツを着込み、大量の分厚いプレゼン資料を両手にぶら下げていました。私は広告代理店で、アートディレクターとして働いています。と言ってもまだ2年目のペエペエで、その日は、初めて自分がメインでプレゼンテーションをする日でした。お客様は某流通業界の大手。いわゆる上得意です。ところが、関西空港に着いてすぐ、どうも雲行きがあやしいということがわかりました。台風が近づいているようです。

 

まあ、でも、順調にプレゼンが終われば台風到着の前に帰れるだろう。その時はそう思っていました。空港まで迎えに来てくれたのは、先方の専務取締役である、Sさん。50歳前くらいの女性です。早速本社までタクシーで向かいます。出張も初めて、関西も初めての私は、タクシーの窓から見える景色に、非常にワクワクしたのを覚えています。ところが、本社に着いた途端、Sさんは言いました。「大変!会議室が取れていなかったみたいです!」大手企業のため、会議室はすべて事前予約制。それをSさんはうっかり予約しそびれてしまったようです。おそらく若手社員に任せきりで、確認していなかったのでしょう。

 

とはいえ、ルールはルール。例外は許されないそうです。このままではプレゼンどころか、打ち合わせもできません。「仕方ない、近所のファミレスかカフェで打ち合わせしましょう。」しかし、企業には守秘義務というものがあります。さすがに、オープンスペースのカフェやレストランでプレゼンをするわけにはいきません。私たちはもう一度外に出ました。あたりはさっきまでと打って変わって、ずいぶん暗くなっています。台風が近づいているのです。

 

私たちは個室があるお店を探して右往左往しました。しかしなかなか見つかりません。雨が降り始めました。このままでは台風に巻き込まれてしまう!慌てて、目の前のお店にとりあえず駆け込みました。が、なんと、そこは居酒屋でした。しかも完全個室居酒屋。そ、それは思いつかなかった・・。私たちは顔を見合わせて笑いました。結局、そのままその居酒屋の個室へ。さて、私の初めてのプレゼンが始まります。と・・そこに出されるお通しの鶏皮ポン酢。何が何だか分からなくなり、結局ビールを頼みました。Sさんも頼んでました。そのおかげかどうかはわかりませんが、無事にプレゼンは成功。案件を受注にこぎつけることができました。

 

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