■念願のパティシエとしての職場
私は、ずっとケーキに携わる仕事がしたいと思っていました。
子供がいて朝が早いパティシエの仕事は、全く採用してもらえない日々が続きましたが、ダメ元で受けた個人店でまさかの採用が決まり、約1年間勤めていました。
その職場は、従業員数10人程という少人数制。
だからこそチームワークが大事なのはわかっていましたが、シェフと上司がとても癖のあるお方で部下である私たちは、毎日ころころ変わる仕事内容や方針に疑問や不安を抱えながら仕事をしていました。
私自身も最初からケーキを扱えたわけではなく、全く関係のないカフェの仕事を任されていました。
サンドイッチや、スープの製造が主でお菓子は見ているだけです。
それでも、下積み、勉強だと思い真面目に頑張っていたつもりだったのですが、理不尽なことで怒られることも多く心が折れそうになっていました。
■衛生環境の悪さや人が安定しない職場
通常、ケーキやパンはその日のうちに販売し、売れ残りは処分または安く提供するという形をとります。
しかし、その職場ではパンは3日目まで値引きなしで販売は普通、それでも売れ残ったら冷凍してカフェ用のパンやサンドイッチに使いまわし。ケーキも、2日目までは普通に売り、売れ残りは冷凍をし、カフェのデザートに使いまわし。
解凍したものでも、2日目くらいまで普通にお客様に提供していました。ごみを出さない、もったいない精神のオーナーだったため、そこは私も共感できるのですが、それでもさすがに味が変わってしまうくらい時間がたったものをお客様に提供することはとても嫌でした。
部下たちは幸い仲が良かったため、同僚がいたおかげでなんとか仕事を続けられたという感じです。それでも、やめる人がとても多くて入れ替わりの多いお店でした。
■それでも、学ぶことの多かった職場
それでも、カフェの仕事を任されしばらくがたち、人員不足も重なりパティシエの仕事もさせてもらえるようになりました。パティシエとして本物の技術を間近で見ることができて、勉強になったことも沢山ありました。
お菓子の学校にも通っていましたが、そこで学んだことよりもはるかに現場での経験のほうが役に立つということも事実です。衛生面のことや、オーナー自身の考え方も不満はありましたが反面教師することが出来て、自分がお客様や人様に商品を提供する際はこんなことは絶対にしないようにしよう、利益ばかりを見てはいけないと学ぶことが出来ました。
不平不満なく働ける職場は少ないかもしれません。
しかし、自分がなぜここにいるのか、ここで得られるメリットはなんなのかをよく考え少しでも前向きに仕事を頑張れるといいな、と思います。