部下に教育指導の日々、夢見て大都会へ

退職を決意

毎日同じ業務の繰り返し、部下の指導をしながらの作業の中で、頭の中で響く心の声、まだ他に自分に合った職業が有るのではないか、まだ働ける若さの内に試してみたいと思わないか。その思いに掻き立てられ退職しました。

今の自分に何が有り、何が合うのかも解らずの見切り発車。ボストンバック一つ持って、行き先も決めず電車に飛び乗りました。新しい人生に期待を膨らまし爽やかな気分です。

何もかもを捨て、新たな新天地を目指す時とは、このようなものなんだと悟りました。若げの至りでしょうか、取り合えずは大都会の東京を目指す事に決めました。けれど勢いで飛び乗ってしまったので、新幹線では無く乗り継ぎの電車、東京方面へと向かう電車に、その場その場で乗り継ぎ、着いたのが横浜でした。

お洒落な街でよくテレビドラマ等で見ていたので憧れも有り、何と無く下車したのです。有名な山下公園や元町、中華街に伊勢佐木町、街ゆく人達から聞こえる関東弁。新鮮な響きに感動すら覚え田舎での部下の指導をしていた事など記憶から消え失せ、この街で生きて行く事に決めました。

右も左も解らない都会の片隅で仕事探し、色んな職種の求人が沢山有るだろうと安易に考えていましたが、現実は非情です。何処に履歴書持参で面接に行っても断られる毎日、その理由が家が無い事、そして保証人が居ない事でした。

確かに勢いで出て来てしまったので、部屋も借りれず住まいも無くカプセルホテルに泊まっていたので言い訳すら出来ず住所不定扱いされても仕方がなく落ち込む毎日です。

パチンコ店で住み込み

ふと歩いていると求人の貼り紙を発見、よく見ると住込み可で給料も良い、けれど職種が何とパチンコ店でした。経験の無い仕事ですが財布の中も二千円と迷っている余裕すら無いので仕方なく面接いきました。今までの受けた面接と違い至って完結、その場で住込みでの採用が決まり寮に案内され明日から働く事に成りました。

次の日、初めての職場体験、まずは先輩方の動きを良く見て覚えるようにとの指示、ランプが点灯すると箱を持ってゆき、お客様に会釈等の対応する業務、数ヶ月が過ぎた頃には頑張ってきた成果のお蔭で、先輩方よりも早くランプが点く前に箱を持って、お客様に対応出来るように成りました。

中には邪魔をしたかのように文句を言う先輩も居ましたが見てる人は、見てくれていました。ある日、突然に店長から事務所に来るようにとの指示が有り、何か失敗をしたのか自問自答しながら向かうと、店長から日頃の働き方が真面目で、他の部下に聞いても評価が良いので役職に就かないかとの有り難い言葉、申し出を受けることにしました。

役職での仕事

流石に役職とも成れば仕事の量も増え責任も持たされます。他の従業員より早く起きてコンピューターや店内の照明の準備から、金庫から現金を出して換金所に届ける等の一人での開店前作業、その後に早番の部下達が出勤し、ミーティングを終え各パチンコ台に箱を置き、お客様が多い人気コーナー等には、ある程度の予測をし前持って角に空箱を多めに設置する事を指導しながら、私は各両替機を開け小銭を投入、朝の準備が全て終われば、インカム無線機を配り開店の用意、時間がきたら自動ドアの電源を入れる係や出迎えて会釈をする係等の配置を指示し、いざ開店へ。お客様が怒涛のごとく押し寄せて来る中を怪我人を出さないように順番に店内に入れ、音楽を開始、人手不足も有り多忙な営業時間の始まります。

お客様の中には負けてパチンコ台を叩く人や、従業員に対応が悪いと文句を言う方々も居られ、その度に飛んで行き対応を迫られる日々、何故ならば従業員に対応をさせれば任せている配置場所の仕事に影響を及ぼし、まだ言葉使いを出来ていないと大きなトラブルを抱える事に成りかね無いのです。

その間にもパチンコ台の故障で呼ばれ、修理するか無理ならば、お客様に謝り役職の権限で補償し台を代わって頂き故障台を使用不可にします。けれど、この判断が厳しく台を止めれば、その日の稼働していたはずの売上高がマイナスになるので間違った判断をすれば大変な事に成るのです。

古いパチンコ台ならば内部の構造基本さえ頭に入れておけば大抵は何処が悪いのか判断出来て修理も可能な場所と、そうで無い場所を見極められるのですが、一体型のケースでカバーされ開けて修理出来無い機種も有り、予備が有れば部品交換すれば治るのですが、無ければ無理なのです。

現実は厳しい

このような毎日毎夜の勤務時間の長さに辟易しながら早番と遅番の二交代制をこなすのです。早番は夕方から四時間程の休憩を経て店内に戻り閉店までの開店業務に着き、その後は全ての売上を回収し機械のデーターに照らし合わせ計算、誤差があれば合うまでと、遅い時は朝の五時位まで掛かる時も有り、そのまま朝出勤となります。遅番も似たようなもので違うのは出勤時間が昼の三時頃からラストまでなのです。

無論これは役職のみの就業時間です。仕事が終われば自由な時間なのですが、仕事の悩み事を持っている部下の相談にものって上げなくては成らない日も多数有り、慕ってくれる部下も居れば、逆に自分にだけ指導の仕方がきついと、愚痴を言う部下も居ます。

疲れきった身体を保ちながら言い分を聞いて上げ、何故に指導を厳しく感じるのか解決の糸口を探り納得させます、これ以上の人手不足は、仕事に影響をもたらしかね無いからなのです。勝手な夢を抱き都会で華々しく成功した姿を思い描いていた日の事が、今では幻を見ていたんだと思います。

何事も現実は甘く無く厳しいものだと悟れるように成りました。どの職種であれ、どの職場であれ社会とは人と人の関係で成り立っているの